大判例

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大阪高等裁判所 昭和41年(ラ)265号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕既に記録に基づいて認定したように、抗告人長瀬亮平は原命令の基本たる競売手続の債務者であるので、右競売手続における本件競落物件の競落人である相手方に対して右物件全部の引渡義務があるから、相手方の申立により、執行吏に対して、同抗告人から相手方への右物件の引渡手続を命じた原命令は相当である。

抗告人長瀬は、「本件引渡目的不動産の一部は抗告人指野健次及び同楠橋勝幸その他の者が現に適法にこれを占有していて、その部分については抗告人長瀬の占有はないので、原命令が同抗告人に対してその現実に占有していない不動産部分についてまでも引渡を命じたのは違法である」旨を主張する。しかしながら、競落不動産の引渡命令では、引渡義務が競落人に対して目的物件について引渡義務を負う限り、右義務者が、直接占有を有しない目的不動産について引渡の執行をするように執行官に命じても違法ではない。けだし、競落不動産引渡命令の執行方法としては、その引渡義務者の目的不動産占有の態様に応じ、明渡し(民訴法第七三一条第一項参照)、引渡請求権の転付(同法第七三二条参照)、指図による占有移転(民法第一八四条第二項但書民訴法第七三六条参照)及び占有改定(民法第一八三条第四一四条第二項但書、民訴法第七三六条参照)等があつて、引渡義務者が目的不動産の直接占有を有していない場合においても右引渡義務者について目的不動産の引渡命令の執行をすることが可能であるから、競落人がこのような引渡義務者が直接占有を有しない目的不動産について引渡命令を申立てたときには競売裁判所は申立を認容する裁判をしなければならないわけであつて、このような場合に、目的不動産の明渡以外の引渡を内容とする引渡命令の裁判をしてもこれを違法と言うことはできないからである。そして、引渡目的不動産を直接占有する第三者が競落人に対して目的不動産を引渡すべき義務を負つていない場合においてもそのことのために競売手続の債務者の目的不動産の引渡義務が消滅することはないから、債務者について競落不動産引渡命令の裁判をする際には、目的不動産について直接占有している者がその占有をもつて競落人に対抗することができるかどうかについて判断するを要しない。本件の場合においても、前述したように、競売手続の債務者である抗告人長瀬は競落人に対し本件競落不動産全部の引渡義務を負う者であつて、仮りに原命令が同抗告人を引渡義務者として引渡手続を命じている目的物件中に第三者が直接占有していて同抗告人が直接占有をしていない部分があつても、更にまた、右直接占有をしている第三者が競落人に対して右部分を引渡すべき義務がないとしても、同抗告人の本件競落人に対する競落不動産引渡義務は消滅しないから、同抗告人以外の者が本件競落不動産の一部を占有しているかどうか及び右占有者が競落人に対して右占有部分を引渡すべき義務があるかどうかについて判断するまでもなく、原命令はすべて正当である。抗告人長瀬の前記主張は理由がない。(乾久治 長瀬清澄 安井章)

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